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ペンは剣よりもいわんや金よりも弱し

2008721

宇佐美 保

 先の拙文《ペンは剣より強く金より弱し(金で煙草を擁護する輩)》では、“ペンは剣より強し”を肯定も否定もしませんでした。

しかし、今の世の中で“ペンは剣より強し”と言えるのでしょうか?

 

 ジャーナリストの田原総一朗氏に関して拙文《あまりにも傲慢な田原総一朗氏2004.7.14)》を次のように書き出しました。

 

最近の田原総一朗氏(ジャーナリスト)の発言は、最近とみにおかしくなっています。

(「高市早苗氏への暴言」(拙文《田原総一朗氏の変節》を御参照下さい)以来?

或いは、元々おかしかったのに、私が気が付かずに、尊敬していただけ?)

先月末のテレビ朝日「朝まで生テレビ(皇室とニッポン)」に於いて、“この番組には、「タブー」なんて存在しない!”と吠えた後、そのタブーを打ち破る嚆矢として(?)次のように(はっきりした文言は忘れましたが)発言しています。

 

 今の天皇が、結婚する際には、外国のジャーナリストから、“何故、「粉屋の娘」と結婚するのだ?”と不思議がられた。

 

 いくら、美智子妃殿下のお父様は日清製粉のオーナーだったからとて、何故、田原氏は外国人の台詞通り「粉屋の娘」と番組中で発言するのでしょうか?

 

外国人(西洋社会)の、「粉屋」との言葉に対する認識が、私達日本人と、全く異なることをご存じではないのでしょうか?

・・・

 

 このような田原氏に辟易して、最近では、田原氏が出演するテレビ番組を見る事はありません。

ところが、私が田原氏を尊敬していた時期に、作家の安部譲二氏は、既に田原氏を「弱いものには机を叩いて怒鳴り散らす卑怯なカマキリ野郎!」と非難したりして、毛嫌いされておられました。

(そこで、今の私は、安部譲二氏の慧眼に感服している次第です)

 

 その安部譲二氏が、創刊3周年を迎えた月刊雑誌『紙の爆弾(20088月号)』で次のように書かれておられます。

 

『紙の爆弾』の編集者たちが、命懸けでやっていることを、僕はよく知っています。

 オバカテレビや大新聞と『紙の爆弾』は、やっている方たちの危険度がまるで違います。

例えるなら、児童公園で三輪車を漕いでいるガキンチョと、サーキットでF-1に乗ってレースを闘っているレーサーほども違うのです。

 莫大な月給やボーナスを取り、退職金も貰えるテレビ局員や大新聞の連中は、決して刺されたり撃たれたりはしません。斬られたり殺されたりするのは、女出入りか、たまたま秋葉原に行った時ぐらいのことでしょう。だからテレビと大新聞は、詰まらないのです。

・・・

 命懸けでやっている松岡さんや中川編集長には、触れられないタブーなんてあるわけがありません

 テレビと大新聞は、権力者や皇室のいいことだけしか報じません。でも、そんな綺麗ごとでお茶を濁して何がマスコミでしょう。権力者や皇室だけじゃぁないんです。僕みたいな爺いは、いわゆるマスコミがトラブルを怖れて報じないことなら、何でも知りたくて堪らないんです。

 具体的に僕が知りたいことを、思い出した順に列記してみましょう。

・・・

 

 確かに、『紙の爆弾』(更には、『週刊金曜日』)には、他のマスコミでは知り得ない記事を見る事が出来ます。

(最近では、コンビニの本部で搾取されるオーナーさんたちの悲惨さなどを紹介してくれました。

事実、自宅近くのセブンイレブンは開業してまだ12年なのに、閉店に追い込まれました。また、別のファミリーマートでは、“数年毎に店内を改装しなくてはならないとの本部からの指令があるため、改装するくらいなら別の立地条件の良い所を借りて再出発する”と言われて移って行かれました)

 

 安部譲二氏の記述を続けさせて頂きます。

 

 まず最初に思うことは、ブッシュ大統領がイラク攻撃の理由だと公言した、フセインの大量破壊兵器の所持と、それにアルカイダとの関係が嘘っぱちだったことで、これは大変なことだと僕は思うのですが、マスコミは沈黙しています。

 

 この件に関しては、『週刊金曜日2008620日号』が「ブッシュ訴追を求めるクシニッチ弾劾決議案」を小さい記事ですが紹介しています。

 

米下院が歴史的な弾劾決議を可決

イラク侵略などブッシュの犯罪を断罪

 米下院は611日、ブッシュ大統領の弾劾決議案を251156で可決した。共和党側も反戦派大統領候補として予備選で善戦したロン・ポール議員ら23人が賛成に回った。同案では弾劾理由を示す条項が全部で35あり、主に外交政策を取り上げた部分を以下に紹介する。後半は国民に対するスパイ行為や「911」事件の「調査妨害」などが列挙。「ブッシュ犯罪録」とも言える内容だ。

1条 イラク戦争に向けたウソの理由を捏造するため、秘密の宣伝活動をした。

2条 侵略戦争を不正に正当化する一環としてイラクを安全保障上の危機であるかのように宣伝し、欺騰的かつ計画的に、犯罪的な意図によって同国を「911」事件と結びつけた。

3条 戦争に向けたウソの理由を捏造するため、国民と下院議員をイラクがあたかも大量破壊兵器を所有しているかのように欺いた。

4粂 戦争に向けたウソの理由を捏造するため、国民と下院議員をイラクがわが国にとって差し迫った脅威であるかのように欺いた。

5条 密かに侵略戦争を開始するため、不正に予算を浪費した。

6条(略)

7条 宣戦布告なしでイラクに侵攻した。

8条 国連憲章に反して主権国家であるイラクに侵攻した。

9条 戦争に当たってイラクの部隊に防護服と車両用防弾設備を支給するのを怠った。

10条 政治的理由でイラクの部隊の死傷者数をごまかした。

11条 イラクに恒久的な基地を建設した。

12条 イラクの天然資源を支配するため戦争を始めた。

13粂 イラクと他の諸国に閲し、エネルギー・軍事の政策を展開するため秘密部隊を創

設した。

14条(略)

15条 イラクで傭兵を掟供する警備会社など犯罪を犯した契約企業に起訴を免れる特権を与えた。

16条 イラクと米国のこうした契約企業に対し、国民の税金を無謀にも誤って投入し、浪費した。

17条 合州国市民と外国人捕虜に対し、無期限かつ起訴手続きを省いた違法な拘留をしている。

18条 アフガニスタンやイラク、そして他の外国において捕虜に対し、国家の公的方針として拷問の実行を密かに許可し、奨励している。

19条 拷問が実行されている国を含む他国に「ブラック・サイト」と呼ばれる秘密収容所を設置し、人々を各自の意思に反して拉致し、送り込んでいる。(以下略)

編集部

 

 更に、この件に関しては、きくちゆみ氏のホームページを引用させて頂きたく存じます。

http://ameblo.jp/syuugyousya/entry-10105944377.html

 

クシニッチ下院議員によるブッシュ大統領の弾劾決議案

英語のインターネットは今、クシニッチ下院議員によるブッシュ大統領の弾劾決議案のことで持ち切りです。・・・去年11月のチェイニー副大統領の弾劾決議案提出のときは無視されたけど、今回はCNNMSNBCなども取り上げ、マイケル・ムーアも報じています。日本ではニュースにならないですね

ARTICLES OF IMPEACHMENT OF PRESIDENT GEORGE W. BUSH

 

 更に、安部譲二氏の記述を抜粋させて頂きます。

 

 911の同時多発テロは、いろいろ怪しいことだらけなのに、日本のマスコミは徹底的な検証を行おうとしません。隣接していた第7ビルが崩壊したのは、なぜでしょうか?

それに飛行学校でちょっと練習しただけで、アルカイダのアラビア青年が、貿易センタービルにドンピシャリ大型ジェット旅客機をブチ当てられるとは、僕にはとても思えません。

 

 私は「911の同時多発テロ」は、「テロ」を「事件」と書き改め「911の同時多発事件」と表現すべきであると判断し、拙文《やっぱりおかしい9-11同時多発テロ事件》などを私のホームページに掲載しました。

 

 更に、安部譲二氏は続けられます。

 

 サダム・フセインは裁判に掛けられ、絞首刑になりましたが、嘘をついて戦争を始めて、今に至るも犠牲者が増え続けているこの現状で、ブッシュ大統領やチェイニー副大統領、それにラムズフエルドにライスといった人たちは、なぜ弾劾されずその地位に坐り続けているのでしょう。(ラムズフエルドだけは追っ払われましたが……)僕はワケが知りたいのです。

 

 この件に関しては再びきくちゆみ氏のブログを引用させて頂きます。

http://kikuchiyumi.blogspot.com/2008/07/blog-post_15.html

 

デニス・クシニッチ、ブッシュ大統領弾劾決議案を再提出

 

またまたクシニッチがやりました(ぜんぜん日本ではニュースにならないけど)。

ブッシュ大統領の弾劾決議案(弾劾impeachmentとは、大統領をやめさせること)を7月10日、再提出しました。

http://uk.youtube.com/watch?v=EldAA2yYbOs

 

6月に提出したときは、米国議会はほぼ完全無視だったけど、今回はペローシ下院議長(米下院は今、民主党が多数派なので、ペローシは下院で最も権限を持っている人)や司法委員会議長のジョン・コンヤーズの態度がちょっと変わってきて「弾劾はしないけど、公聴会ぐらいはやって、デニス・クシニッチの話を聞こうじゃないか」という感じになってきています。

 

というのは、ペローシは今度の選挙で、なんとあの世界一有名な「ピースママ」シンディー・シーハンの挑戦を受けているからです(カリフォルニア、サンフランシスコ選挙区)。ご存知ない方のために書きますと、シンディーはイラクで長男のケイシーを24歳で亡くし、「なぜ息子は死んだのか」を直接大統領に聞くために、大統領の牧場で「たった1人の座り込み」(後に全米と世界から賛同者が集まり、大きなキャンプになった)を始めた勇敢な女性です。

 

民主党にも共和党にも属さないシンディーが、アメリカの選挙制度の中で勝つのは本当に難しいですが、彼女は選挙の焦点をブッシュの行った戦争の違法性と、彼の弾劾に絞ることに成功しており、有権者の心が徐々にシンディーに傾いているのです。

・・・

 

 安部譲二氏は、更に、次のようにも訴えておられます。

 

 そして、今年の夏でもう23年前になりますが、日本航空123便は、何が原因で御巣鷹山に墜落して五二〇人もの方が亡くなったのでしょう。運輸省の事故調査委貞会は、急減圧による圧力隔壁の損壊を事故原因だとしましたが、日本航空乗員組合は未だに認めていません。

・・・

 と、ここまで書いて来て僕は、松岡さんも中川編集長も、カタギではないということを、はっきりしておかなければいけないと思いました。カタギというのは、テレビを見て大新聞を読んで、それで世の中がみんな分かったような気になる幸せな人たちです

 残念ですが、僕はそうじゃありません。タブーも、良識や常識なんかクソ喰らえです。

命懸けで記事を書いて雑誌を作るのは、戦士か侍で、もちろん、そこいらのカタギじゃありません

 こんな具合に、誉めて煽り立てるのが、卑怯な爺いの手口で、そんなことは自分でよく知っているんです。

 

 このように「カタギ」でないと広言する安部譲二氏が、「カタギ」と看做すであろう方々の手による『週刊文春(2008.1.24号)』では、藤田氏の疑問をあざ笑うかのように次のような記事を載せています。

 

9.11」陰謀説をブチあげた民主藤田久幸に「あの人ダイジョウブ?」

「おいおい、本気かよ……」

 補拾支援特別措置法が可決された前日の今月十日、参院で開かれた外交防衛委員会での出来事が話題になっている。というのも、民主党の藤田幸久参院議員(57)が、「2001年九月十一日の米同時多発テロは、本当にアル・カイーダの仕業だったのか」と、「陰謀説」を突然語り始めてしまったのだ。

 センセイ、大丈夫?

 

「『陰謀論』は元々米国内で広まったもので、WTCビルには事前に爆薬が仕掛けられていたとか、ペンタゴンに突っ込んだのは民間機ではないなどといった内容です。日本でも『暴かれた911疑惑の真相』などの著書があるベンジャミン・フルフォード氏らが中心となって、『米国政府は大量虐殺の犯罪集団』とまで主張しています。ですが、根拠とされる証拠には綻びがあり、いわゆる『トンデモ話』の一つですよ」(社会部記者)

 藤田議員はどうやら、これに飛びついてしまった様子。実際、委員会でパネルにして見せた写真などは、同様な主張の書籍やネットに掲載されているものそのままだ。

こんな話を国会の場で聞かされた出席者も、たまったものではではないはずです。

・・・

 

 このように、“根拠とされる証拠には綻びがあり、いわゆる『トンデモ話』の一つですよ」(社会部記者)”と、書かれていますが、この社会部の記者はどのような方ですか!?

911疑惑」を徹底的に追及された方ですか?

すくなくとも“根拠とされる証拠には綻びがあり”というのならばその証拠を示すべきです。

更に、“実際、委員会でパネルにして見せた写真などは、同様な主張の書籍やネットに掲載されているものそのままだ。”との記述は、それらの写真がいかがわしいとか、それらの書籍、ネットがいかがわしいと看做している事になります。

だとしたら、そのように判断した証拠を提示すべきです。

そして、『週刊文春』は次のように続けます。

 

 「私も最初に話を聞いたときは信じられませんでしたよ。ですが、その後いろいろな資料にあたってみるうちに、これは本当だと確信を持つようになりました。

元独連銀総裁をはじめ、世界中の要人が疑問を呈しているのです。米政府も日本政府も、違うというのであれば、キチンとその証拠を出せばいい。総理や官房長官が嫌な顔をしてたって?そりや、突っ込まれて痛い部分だから、困った顔をするんですよ」

 

 『週刊文春』の方々も、藤田議員を非難するなら、藤田議員が当たったという資料を検証すべきです。

なのに次の記述です。

 

 何を信じるか信じないかは個人の自由だが、国政に携わる政治家となれば話が変わってくる。

 外交評論家の小山貴氏も、「国際関係をあまりに知らな過ぎます。ここまで来ると常識も良識もなく破廉恥」と憤慨する。

 ところが当のご本人は、「通常国会でも引き続きこの問題を取り上げ、世論喚起に努めます」と熱く語る。

 ちなみに藤田議員の座右の銘は、「誰が正しいかではなく、何が正しいか」だとか。民主党には、トンデモ議員を止める奴はいないのか!

 

 此処での “外交評論家の小山貴氏も、「国際関係をあまりに知らな過ぎます。ここまで来ると常識も良識もなく破廉恥」と憤慨する。” との論は、

“「9.11」陰謀説が真実か否かが問題ではない、
大事なのは米国が白と言ったら白、黒と言ったら黒と信じ込み行動するのが、
国際関係を築く為の常識であり、良識である!”

と論じている事と同じです。

即ち、外交評論家の小山貴氏も『週刊文春』も

「本当だろうが嘘だろうが世界の警察官たる米国が正しく、
9.11」陰謀説が正しいかどうかは大事ではないのだ!」

と言っているようなものですから、これでは

「何が正しいかは問題ではなく、誰が正しいかが問題なのだ!」

となり、『週刊文春』が茶化している藤田議員の座右の銘である「誰が正しいかではなく、何が正しいか」と全く逆なのです。

 

 勿論、私は藤田議員の座右の銘を立派だと存じます。

 

 このような状況で、藤田幸久議員のホームページには次のように記述されています。

http://www.election.ne.jp/10870/37275.html

ところで、17日発売の週刊文春に「『911』陰謀説をブチあげた藤田幸久に『あの人ダイジョウブ』」という記事が出ました。私は陰謀などと一言も言っておらず、また9.11に関する世界の信頼できる方々の裏づけなどの資料(HPに掲載)を記者に渡したにも拘わらず、それらには触れずに、中傷と茶化した記事となっています。そう書かせる意図をもった人々がいることの証明だと思われます

 

 この藤田議員の最後の記述“そう書かせる意図をもった人々がいることの証明だと思われます”は重い言葉だと感じます。

 

 なにしろ、マスコミは、ある意図を持った人物たちの思い通りとなり、その結果私達はそれらの人物の思い通りに操られてしまうのですから、ペンの強さはどうなってしまったのでしょうか!?

 

 
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